大きいことはいいことだ。

|

がりがりぽんた.JPG今年、動物愛護法の5年に一度の改正が行われます。 その中で「動物の販売年齢」について議論がなされています。この件は5年前にも議論されましたがまとまらず、持ち越しになりました。

 現在、日本のほとんどのペットショップでは生後6週、つまり生まれて一ヶ月半くらいの子犬、子猫を販売しています。しかしヨーロッパでは最低でも8週(生後2ヶ月)までは売ってはダメとなっています。どうして2ヶ月まで販売してはダメなのでしょうか。

 子犬や子猫は生まれて4週目で歯が生え始めます。歯が生えてくるとおっぱいを吸われるお母さんが痛がって徐々に離乳へと向うのですが、離乳の完了は個人差もあり、生後6~8週目くらいです。つまり今ペットショップに居る子の中には離乳の完了していない子も含まれているのです。

 離乳が完了していない子に長距離の移動や、いきなりドックフードを与えたりすると当然、体調を崩してしまい、悪くすれば死んでしまうこともあります。(しかしそういった弱った子犬が私たちの目にふれることはありません・・・。)

 こう聞けば誰でも「8週目以降にすればいいのに」と思うでしょう。しかし販売者は「小さくないと売れない」「8週まで育てると餌代などのコストがかさむ」と言って譲りません。販売者にとっては動物の離乳などどうでもよく、あくまでもお金、ビジネスなのだということが良く分かります。

 わが家のぽん太は唯一、某ペットショップから購入したのですが・・・二枚の写真で分かるでしょうか?ガリガリにやせてアバラが浮いている上にあたまと胸からお腹にかけて脱毛で毛がありませんでした。背中もフケだらけで、値札には赤字で「皮膚に難アリ」と書かれていました。

 院長が「これは間違いなく栄養失調のトラブルだ!子犬をこんなになるまで飢えさせるなんて」と大変な怒りようで、結局放っておけずうちの子になりました。つまり、この某ペットショップでは常態的にフード量などをケチってコストを浮かせているのです。もしくは栄養素の抜けてしまった古い、本来捨てるような粗悪なフードを使っているのか・・・。しかもそのために脱毛しているという自覚も知識もないのです。

 

ガブリたま.jpg

 

 動物の、また販売者側のメリット・デメリットは上記の通りですが、私たち飼い主にはどんなメリット・デメリットがあると思いますか?実は大変大きな違いがあるのです。 

 ヒトで乳幼児と母親のスキンシップには 精神の成長と安定化に大きな意味があると分かっていますが、近年、動物にも全く同じことが言えるのではないか、といわれるようになってきました。

 つまり母犬、母ネコと長く過ごした子は少々のことには動じず、落ち着いた性格になるのです。飼い主が居ないからと鳴きまくる、食事をとらない、物を壊す、あちこちで排泄をする・・・という精神の不安からくるさまざまなトラブルを起こしにくいのです。

また兄弟とも一緒に過ごすことで社会化が進み、噛みぐせや他の動物とのトラブルも減るでしょう。

 

凶暴たま.jpg

 

 実際、2ヶ月にも満たない年齢でひとり、川のなかすで保護されたわが家のしらたまは最初の頃、ひどい噛み癖がありました。

 

院長以外の男の人が怖くてガクガクに震え、自力で起き上がれなくなるほどのひどい精神不安の症状がありました。

 

 おもちゃで遊んでも加減が分からないのかすぐ牙をむき、ちぎって壊してしまうこともありました。

 

 

 

 

 

ダイズ.JPG

 

それに対して3ヶ月以上、お母さんと兄弟と一緒に過ごしたダイズは性格も社交的で、おっとりとした性格。チワワとじゃれてもケガをさせるようなことはしません。

 

 トイレも教わる前に他のメンバーがしているのを見ておなじ所でするようになったので全く教えることはありませんでした。

 

 いまではみんなの食べ終わった皿を一枚残らずきれいに舐めて(笑)持ってきてくれます。これも片付けているのを見て覚えたのでしょう。とにかく自分で考えて行動することができるのです。精神的な自立の結果なのでしょう。

 

 

 しらたまとダイズを見ていると、実際には生後8週でもまだお母さんと離すのは早いのだと思います。お母さんの完璧な代わりなど、オシリを舐めてあげることも出来ない私たち人間には到底つとまりません。

 また、「8週になったらかわいくない。6週で売って」などと言う、動物のことを思いやれない人には動物を飼ってほしくありません。もちろん売るほうもしかり、です。8週だって十分子犬で子猫でかわいいです!

 動物にとっても、飼い主にとってもいいことづくめのこの法案、ぜひとも8週以降の販売を今年こそ、義務付けて欲しいものです。