ほか: 2009年8月アーカイブ

夏休みですね。

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蒸し暑い日が続きますね。動物たちは熱さも湿気も苦手です。熱中症にならないように十分注意してください。動物はヒトのように汗をかいて体温を下げることができません。私たちが汗をかいているときは動物たちにとって危険な気温。野生の動物は地面に穴を掘って涼みますが、それができないおうちの子にはエアコンをかけて体温を下げてあげましょう。(扇風機では不十分です!)i love.JPG

さて、夏休みになって子供さんが一緒に来院されることが増えました。そのときに「将来は獣医さんになりたいです。」と言ってくれることがあってとってもうれしいです。でも、獣医師になるにはどうするのかはあまり知られていないようなので興味がある人にはこれを機会にぜひ知って欲しいです。

獣医師になるにはまず日本国内に16校ある獣医学科、獣医学部のある大学6年間勉強します。受験科目は理数系で、ここ10年の偏差値は大体60~70くらい。年齢制限は特にありません。

大学を卒業すると『獣医師国家試験』を受けられます。獣医師国家試験の受験に合格して初めて獣医師免許を手にできます。(獣医師免許は紙で、表彰状や卒業証書のような感じです。) 獣医師になったら動物病院で働くイメージが強いと思いますが、他にも牛・豚・鶏などの畜産動物の獣医師や、空港や港で狂犬病や鳥インフルエンザ、狂牛病(BSE)などの伝染病検査を行う検疫官、食品衛生や環境衛生の検査機関の公務員、製薬会社の薬品開発や毒性試験などの基礎研究の分野などもあります。

私は動物病院でしか働いたことがないので他の分野は分かりませんが、動物病院で働くには十分な体力と精神力が必要です。お医者さんのように「外科」などの「科」に分かれていないので外科、内科、歯科、皮膚科、眼科などすべてを診ます。また動物ごとに使える薬や治療法が違ったりするのでそれも覚えます。動物は話せないので病気が進行するまで気づきにくく、すぐに治療や手術をしないと危険な場合もよくあります。そのため動物に夜中まで付き添ったり、自分のお休みの予定を取りやめないといけないこともあります。しかしそうやって頑張って治療しても治らないこともあって・・・しんどそうな動物やその飼い主さんを見るときはすごく辛いです。それからよく誤解されますが・・・獣医師のお給料は残念ながら安いです。同じ6年勉強するならお医者さんの方が何倍も(時には何十倍も…)お給料は良いです。

このように書くと「獣医さんってイイことなし?」と思うかも知れませんが、いえいえ言葉が話せない動物の苦しさや痛みを見つけ出して助けたり、動物のかわりに飼い主さんに伝えたりすることは獣医師にしかできないすばらしいことだと私は思っています。獣医師になると元気のなかった動物が自分の治療で元気を取り戻してくれたとき、ものすごく大きな達成感があって、本当にうれしくなります。きっとこの喜びは他の仕事では味わえないと思います。そうして辛い病気を一緒に乗り越えると飼い主さんと同じかそれ以上にその動物と仲良くなれることもあります。「獣医師になって本当によかった」 と思えること、瞬間がたくさんあります。ですからこの仕事は動物が大好きな人には最高の仕事だと思います。特に「動物が元気になったり、病気が少しでも楽になってくれるならいくらでも頑張れる!」という人はすごく獣医師に向いていると思いますし、きっと良い獣医師になれると思います。そういう人はぜひ獣医師を目指して欲しいです