わんこ: 2010年4月アーカイブ

狂犬病予防注射。

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CIMG5794.JPG4月になり、狂犬病予防の集合注射が始まりましたね。午前はうちの院長が担当で、大龍寺へいきました。診察…日曜は忙しいのにどうしよう・・・と思いましたが、よくお分かりの飼い主さんたちが土曜日に来てくださったので大変助かりました。そのかわり土曜が2時間待ちでしたが…ホントごめんなさい、そしてありがとうございました

この狂犬病という病気。2006年に海外で感染した方が帰国後に亡くなったのは記憶に新しいですが、それ以外の日本国内での伝染・流行は50年以上ありません。50年も発生がないのにわざわざ案内状を送って、東大阪市内で言えば48箇所もの場所を用意してまで集合注射するのはどうしてなのでしょうか?

それは人が狂犬病を発症すると効果的な治療法もなく、まず100%死んでしまうからです。狂犬病予防は犬のための注射と思われがちですが、実は私たち人間に狂犬病が流行しないための予防措置なのです。

 

狂犬病ウイルスが人の体内に入ると1~3ヶ月ほどの潜伏期間(無症状の期間)を経て発症します。その症状は発熱や食欲不振からはじまって徐々に悪化し、最終的には水を飲んだり、そよ風が皮膚に当たったりするだけで、激痛をともなう痙攣発作が起こります。そうして苦しんだあと、昏睡状態になり呼吸停止、心停止して死に至ります。(いきなり昏睡になって死亡することもあるそうです。) ちなみに中世ヨーロッパのドラキュラ伝説は実は狂犬病患者のことではないかとも言われています。激痛を起こす水(聖水)を怖がったり、狂犬病を媒介する血吸いコウモリが登場したり、外の光を嫌ったりしますよね。

 

CIMG5796.JPGとはいえ私自身、当然ながら狂犬病の犬も人も、この目で見たことはありません。それは50年以上前に狂犬病の根絶と予防を必死で行った人たちが居てくれたから。中には予防活動で狂犬病にかかり亡くなった方もいたのです。そしてもう一つ絶対に忘れてはいけないと思うのは、狂犬病の伝染を防ぐために徹底して行われた野良犬の殺処分のこと。保健所で野良犬を捕獲して殺処分するのは元々、狂犬病の予防のために始まったことです。今私たちがご近所さんの犬を「あら~かわいい!」と気軽になでられるのも、そういったたくさんの人や、年間30万頭にもおよぶ犬たちの犠牲の上にあることなのです。(最近の殺処分はそれだけじゃないけど)

狂犬病予防は飼い主が飼い犬に必ず受けさせなければいけないと法律で決まっています。しかし、「法律だから」、「義務だから」だけではなく、

犬が好きで、犬と一緒に生活したいと思う気持ちがあるのなら、必ず狂犬病予防は受けましょう。