にゃんこ: 2012年6月アーカイブ

がじこ。

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私事ですが・・・去る、5/20にわが家のにゃんこ、がじこが他界いたしました。15歳で慢性腎不全の悪化が原因でした 

がじこは私が大学生のときにもらったにゃんこです。当時、午前中は授業、午後は実習、それが終わると大学の付属の動物病院で診療の手伝いをする毎日でした。実習が終わり、MRIの検査中だったところへ手伝いに入ると、助教授の先生がニヤニヤしながら「そろったな。おまえら、じゃんけんしろ。」といいました。「なんですか?」「午前の診察で肩の外傷がひどいノラの子猫が来たんだけど、見つけてつれてきた人が飼えないってさ。だからじゃんけんしろ。」「それは・・・」「そう、おまえら誰か飼えよ。」「えー!」・・・とまぁ、そんな感じでした。

で、いざじゃんけんするときになって誰かが「負けた人が飼うのってなんかネコがかわいそうじゃない?だから勝った人が飼おうよ。」「うん、そうやな。ええと思う。」「じゃ~んけ~ん、ホイッ」とじゃんけんしたところ、ふだんしょっちゅう負けるのに珍しく私が勝ちました

こうして半ば強制的に子猫は私のネコとなったのですが、肩の傷が骨まで達してて化膿もしていたので毎日洗浄しなければならず、子猫と私の関係は険悪でした。私を見ては「また痛いことするヤツが来た!」とシャーシャー怒っていました。それでもゴハン(もちろん私の自腹です)をモリモリたべ、子猫は見る見る元気を取り戻しました。私は授業前にゴハンをやりに行き、抗生剤を注射、実習後は診療を手伝いながら合間をみて傷の洗浄・・・と多忙になり、子猫の養育のためにファミレスでアルバイトもはじめました。

やがて肩の傷は治り、子猫と私の関係がいい感じになったころ、友人が飼っていた猫「カジ」というネコにそっくりだということで男の子だけど「ガジコ」という名前に決まりました。

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半年後、ガジコの去勢手術は私がしました。それが初めてのオペ執刀です。「だれがやるより丁寧に、かつスピーディに!」と思い、何度も練習したので、先生や先輩に「初めてとは思えないなぁ」と言われました。私が獣医師として働き始めてからも、初めてしたガジコの手術のことはいつも頭のすみにあります。

ガジコとの思い出はそのまま私の大学生活の思い出です。散歩中ガジコが学内の農場で迷子になり、3日3晩探した私に4日目の朝、「ニャー!」といいながら飛び掛ってきた事とか、国家試験の勉強で疲れたとき、うたた寝をしていた私にガジコが生まれて初めてゴキ〇リを採ってきてくれて、わたしが飛び上がって喜んだ(?)こととか・・・。

ガジコは私にとって特別なネコで、何かにつけて「やっぱり獣医になってよかったな。」と思わせてくれました。そしていつも私の最上級の「癒し」でした。

15年前、ガジコがケガをしなかったら・・・オジサンが見つけてくれなかったら・・・治療費がかかる大学病院に連れてこなかったら・・・先生が大学で引き取ると言わなかったら・・・私がじゃんけんに負けていたら・・・どれか一つでも違っていたらガジコと出会っていなかった、こんな風に思い出にもならなかったんだと思うと、本当に動物との出会いって縁だな、不思議だなと思います。

幸運な出会いに心から感謝します。

幸せな15年間をありがとう、ガジコ。

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頂き物の「いくら」のラベルを貼られて不満顔のガジコ。